海外の映画スタジオでCGアニメーターをやっている若杉です。今回は、
力の勢いがちゃんと伝わるアニメーションを作りたい
という人の為に、力の伝達について書いてみようと思います。キャラクターや物がぶつかったり、接触したりするとき、考えないといけないのは力の伝達です。力の伝達とは、一方の力が接触することによって、もう片方に力が移ることです。
力学的エネルギー保存の法則という物理原則で、力が自然となくなったり、自然に弱まったりすることはありえません。力は必ず伝達して、それをうまく表現することが説得力のあるアニメーション作る上で大事になってきます。
自然にボールが止まったりすることがあると思われるかも知れないですが、それも重力によって地面との摩擦が生じて前に進む力が分散して、違う部分に力が伝わって前に進む力の方が弱くなっていくということです。
例えばこのボールのアニメーションでは、ボールがぶつかる勢いによって、どれくらいの勢いで跳ね飛ばされるのかが決まってきます。
ここで気をつけて欲しいのは、とても大きな力を伝達したい時(サンドバッグを殴るなど)には、一番力が強い部分(スピードが速い、スペーシングが一番広い)でぶつかるともっとも大きな力を伝達することが出来るということです。
壁を殴るアニメーションでは、動き出しと止まる部分はスピードが遅くなって、真ん中あたりが一番スピードが出ます。つまり、一番強い力でサンドバッグを殴るためには、その部分の最も力が出ている部分でぶつける事が大切です。手が伸び切った状態など、一見ダイナミックなポーズですが、力が弱まっている部分でぶつけると、伝達する力も弱くなってしまいます。
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